Letter

有機化学:ペンタデヒドロ・ディールス・アルダー反応

Nature 532, 7600 doi: 10.1038/nature17429

古典的なディールス・アルダー[4 + 2]環化付加反応では、反応物の4π(ジエン)と2π(ジエノフィル)の対の総不飽和度(すなわち酸化状態)によって、新たに形成される炭素六員環の酸化状態が決まる。例えば、古典的なディールス・アルダー反応では、ブタジエンとエチレンが結合してシクロヘキセンが生成される。最近開発されたディールス・アルダー反応には、反応物の対の水素原子数と得られた生成物の水素原子数が少ない変種がある。例えば、テトラデヒドロ・ディールス・アルダー(TDDA)反応では水素原子が4個少なく、ヘキサデヒドロ・ディールス・アルダー(HDDA)反応では6個少ない。テトラデヒドロよりも酸化状態が高い(すなわち、水素が5個以上不足している)と、ベンゼンよりも酸化状態の高い反応中間体が生成される。こうした反応中間体の捕捉を用いて、制御可能な汎用的手法で最終生成物の構造を複雑化できるため、反応中間体を有する過程では全体の能力が大幅に向上する。今回我々は、α,3-デヒドロトルエンと呼ばれる別の高反応性中間体を生成する、全体で4π + 2πという前例のない環化付加反応について報告する。このα,3-デヒドロトルエンという中間体種の酸化状態は、ベンザインと同じである。α,3-デヒドロトルエンは、ベンザインのように、さまざまなトラップ剤によって捕捉され、HDDA過程の生成物を補完する多様な構造の生成物を生成できる。我々は、この新しい環化異性化過程をペンタデヒドロ・ディールス・アルダー(PDDA)反応と名付けた。これは、機構的な理由ではなく化学分類学的な理由で選んだ命名である。アルキンの他、アザHDDA反応に関与しないニトリル(RC≡N)も、容易にPDDA環化の2π成分として働き、α,3-(5-アザ)デヒドロトルエン中間体の捕捉を経て含ピリジン生成物を生じる。

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