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構造生物学:ヒトσ1受容体の結晶構造

Nature 532, 7600 doi: 10.1038/nature17391

ヒトσ1受容体は、小胞体に常在する役割不明の膜貫通タンパク質で、うつ病や薬物嗜癖、神経因性疼痛などの多様な疾患に関与していると考えられている。最近、ヒトでの遺伝学的研究やマウスモデルについての研究から、この受容体が筋萎縮性側索硬化症にも関わっていることが明らかになっている。Gタンパク質共役受容体やリガンド依存性のイオンチャネルのような、広く研究されている大きな受容体ファミリーに属する多くの膜貫通型受容体とは違って、σ1受容体は進化的に孤立していて、他のヒトタンパク質との間に目立つ類似点がない。ヒトの生理的状態と疾患における重要性が次第に明らかになってくるのにもかかわらず、σ1受容体の分子構造と薬剤様化合物によるその調節についてはまだほとんど不明のままである。今回我々は、ヒトσ1受容体の、化学的に異なる2種類のリガンドであるPD144418および4-IBPと複合体を形成した状態の結晶構造を報告する。これらの構造から、各プロトマー中に1つの膜貫通ドメインを持つ三量体構造が明らかになった。受容体のカルボキシ末端ドメインには、膜に近接した側に平らで広い疎水性の表面があって、これが細胞内では小胞体の細胞質に面した表面と緊密に結合していると考えられる。このドメインには、cupin様βバレルがあり、その中央部にリガンド結合部位が埋め込まれている。この大きな疎水性のリガンド結合キャビティはリガンド認識に顕著な柔軟性があることを示していて、2種類のリガンドが、化学構造が似ていないにもかかわらず同じ位置に結合することを明らかにしている。まとめるとこれらの結果は、この重要だが解明の進んでいないタンパク質の全体的構造、オリゴマー化状態、それにリガンド認識の分子基盤を明らかにしている。

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