Letter

細胞生物学:ミトコンドリアのROSは熱産生によるエネルギー消費とUCP1のスルフェニル化を調節する

Nature 532, 7597 doi: 10.1038/nature17399

褐色脂肪組織やベージュ脂肪組織は、熱産生性の呼吸を介して化学エネルギーを熱として消散でき、これには脱共役タンパク質1(UCP1)が必要である。このような脂肪細胞からの熱産生は肥満や糖尿病を抑えるので、in vivoでUCP1依存的な呼吸を制御する因子の研究が盛んに行われている。今回我々は、褐色脂肪組織での急性に活性化された熱産生がミトコンドリアの活性酸素種(ROS)のレベルの大幅な上昇を特徴とすることを示す。ROSの増大はin vivoでの熱産生を支えているが、それはミトコンドリアのROSを薬理学的に枯渇させると、低温曝露時に低体温が引き起こされ、全身のエネルギー消費のUCP1依存的増加が抑制されるからである。さらに、熱産生に関わるROSは、褐色脂肪組織のシステインチオール類の酸化還元状態を変化させて、呼吸を亢進させること、またUCP1のCys253が重要な標的であることが確認された。UCP1 Cys253は熱産生過程でスルフェニル化されるが、この部位を変異させるとUCP1のプリンヌクレオチドによる阻害状態が脱感作されて、アドレナリン作動性が活性化し脱共役が起こるようになる。これらの研究は、褐色脂肪組織でのミトコンドリアROSの誘導が、UCP1依存的な熱産生や全身のエネルギー消費状態を支える機構であることを突き止めたもので、この結果は代謝疾患と闘う治療戦略を改良する道を開く。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度