Letter
生物材料:ヒョウタンウツボカズラの口縁部表面における連続的な方向性水輸送
Nature 532, 7597 doi: 10.1038/nature17189
多くの自然系には、方向性のある水輸送を可能にする表面や繊維がある。この挙動は、マイクロスケールやナノスケールの階層的な構造上の特徴によるものとされることが多く、表面エネルギー勾配やラプラス圧力勾配が主な駆動力と考えられている。今回我々は、食虫植物ヒョウタンウツボカズラ(Nepenthes alata)の捕虫嚢を調べた。我々は、捕虫嚢の口縁部である「peristome」の表面において、そのマルチスケール構造に起因して方向性のある連続的な水輸送が起こることを見いだした。このマルチスケール構造によって、輸送方向の毛管上昇の最適化と促進が起こり、逆方向に移動している水の前線はどれもが所定の位置にピン止めされて逆流が阻止される。この結果、表面エネルギー勾配が存在しないにもかかわらず一方向性の流れが生じ、さらに輸送速度もこれまで考えられていたよりかなり速くなる。我々は、この挙動の基になる基本的な「設計」原理を用いて、実用的な人工流体輸送系を開発できる可能性があると予想する。

