Letter
進化生物学:シマ・デ・ロス・ウエソスの中期更新世ヒト族の核DNA塩基配列
Nature 531, 7595 doi: 10.1038/nature17405
スペイン、シエラ・デ・アタプエルカのシマ・デ・ロス・ウエソスで発見されたヒト族28体の特異な化石群は、約43万年前のものであることが最近明らかになった。この中期更新世のヒト族が、後期更新世のヒト族とどのような類縁関係にあったのか、特にユーラシア西部のネアンデルタール人や、ネアンデルタール人の姉妹群で現在のところシベリア南部出土のものしか知られていないデニソワ人とどのような関係なのかは、興味深い問題である。シマ・デ・ロス・ウエソスのヒト族は、派生的な形態的特徴の一部がネアンデルタール人と共通しているが、シマ・デ・ロス・ウエソスのヒト族1体から回収されたミトコンドリアゲノムは、ネアンデルタール人よりもデニソワ人のミトコンドリアDNAに近い。しかし、ミトコンドリアDNAでは集団間の類縁関係の全体像が明らかにならないため、我々は、シマ・デ・ロス・ウエソスで発見された複数個体についてDNAの保存状態を調べた。今回、標本2点から核DNA塩基配列が回収され、シマ・デ・ロス・ウエソスのヒト族がデニソワ人ではなくネアンデルタール人に近縁なことが明らかになり、ネアンデルタール人集団とデニソワ人集団の分岐が43万年以上前であったことが示された。2点の標本のうち一方から回収されたミトコンドリアDNAには、過去に報告されたデニソワ人ミトコンドリアDNAとの類縁関係も認められたことから、他の可能性もいくつかあるものの、ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの遺伝子プールがその後の歴史の中で大きく変化したことが示唆される。

