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神経科学:初期アルツハイマー病モデルマウスの記憶エングラム細胞の活性化による記憶検索

Nature 531, 7595 doi: 10.1038/nature17172

アルツハイマー病(AD)は、進行性の記憶低下と、それに続く広範な認知機能の喪失を特徴とする神経変性疾患である。初期ADの記憶低下は、ほぼエピソード記憶に限られるが、この記憶には海馬が重要な役割を持つ。しかし、AD初期段階で観察される健忘症状が、エピソード情報の神経符号化や固定の障害によるのか、いったん保存された記憶情報の検索の障害によるのかは、確定していない。今回、初期ADモデルであるトランスジェニックマウスで、海馬で記憶エングラムを担う細胞群を光遺伝学的に直接活性化したところ、このマウスは自然の想起手掛かりを用いた長期記憶テストでは健忘症状を示すにもかかわらず、記憶を検索した。この結果は、障害が記憶の保存ではなく検索にあることを示している。アミロイド斑の沈着以前の段階で、このマウスは加齢依存的な健忘症状を示すが、その症状は海馬歯状回エングラム細胞の樹状突起棘密度の漸減と相関していた。そこで歯状回エングラム細胞の穿通繊維経路シナプスに長期増強を光遺伝学的に誘発したところ、棘密度と長期記憶とが共に回復した。また、棘密度を回復した歯状回エングラム細胞を除去したところ、長期記憶の回復は見られなくなった。従って、エングラム細胞樹状突起棘密度の選択的回復が、AD初期段階での記憶欠失に対しての有効な治療戦略となる可能性がある。

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