気候科学:アフリカの塵の過去、現在そして未来
Nature 531, 7595 doi: 10.1038/nature17149
アフリカの塵の放出と輸送は、1日から10年の時間スケールの変動を示し、アマゾン地域の生産力、大西洋の気候モード、地域的な大気組成と放射収支、サヘル地域の降水などの過程に影響を及ぼすことが分かっている。気候システムにおけるアフリカの塵の役割を解明するには、塵の放出と輸送を支配する要因を理解する必要がある。しかし、アフリカの塵は、エルニーニョ/南方振動、北大西洋振動、熱帯収束帯の南北方向の位置、サヘル地域の降水、サハラ砂漠の地表面温度などの、一見異なるさまざまな大気現象と相関があり、こうした現象の全てが、塵と気候の関係を不明瞭にしている。本論文では、北アフリカにおける塵の放出の変動の大半の原因となる地表風系は、地表面の流れが地形によって加速されることで、サハラ砂漠の地形を反映していることを示す。従って、塵とさまざまな気候現象の相関は、地形によって制御される風の変動パターンへの、こうした現象に伴う風の射影におそらく起因している。過去の再解析結果に基づいてこの風系のパターンを地表風へ射影して作成された1851~2011年の161年間の塵の時系列から、1910年代~1940年代と1970年代~1980年代に塵の濃度が最も高くなり、1860年代、1950年代、2000年代に異常に低い塵濃度が持続した期間が3回あったと示唆される。風のパターンを気候モデルに射影すると、温室効果ガスの濃度が21世紀に上昇するにつれて、アフリカの塵の放出と輸送が統計的に有意に減少する傾向が得られた。これは、熱帯循環の鈍化と関連している可能性がある。こうした塵のフィードバックは、気候モデルでは表現されないが、空気の質の改善と降水の増加を介し、西アフリカの人々の健康と生態系の健全性に恩恵をもたらすかもしれない。さらに、このフィードバックは、北大西洋の熱帯の温暖化を強める可能性もあり、ハリケーンの形成と成長により適した海域になると思われる。

