Letter

素粒子宇宙物理学:銀河系中心部におけるペタ電子ボルトの陽子の加速

Nature 531, 7595 doi: 10.1038/nature17147

銀河宇宙線は、少なくとも数ペタ電子ボルト(1015 eVのオーダー)のエネルギーに達する。これは、銀河系にペタ電子ボルトの加速機構「ペバトロン(PeVatron)」が存在することを意味するが、銀河系内の宇宙線の加速に対して提案されている全てのモデルはまさにこうしたエネルギーで困難に直面している。最近のγ線観測から、粒子を数十テラ電子ボルト(1013 eVのオーダー)のエネルギーに加速できる銀河系内の加速機構が、数多く推測されている。しかし、現在知られている加速機構のいずれも、また銀河宇宙線の大半を供給すると考えられているシェル型構造を示す少数の超新星残骸でさえも、ペタ電子ボルトの粒子の特徴的な痕跡、すなわちカットオフやスペクトルの破れなしに数十テラ電子ボルトまで伸びているγ線のべき乗スペクトルを示していない。本論文では、銀河系中心部周辺領域を分角の分解能で深γ線観測し、銀河系中心部の10パーセクの範囲内にペタ電子ボルトの陽子の存在を示すと考えられる痕跡が見いだされたことを報告する。我々は、超大質量ブラックホールであるいて座A*が、このペバトロンに関係していると提案する。銀河系中心部からのX線アウトバーストとアウトフローによって示されるように、いて座A*は過去に活発な段階を経てきた。現在の粒子加速率は銀河宇宙線への十分な寄与をもたらすには十分ではないものの、いて座A*は最近の106~107年にわたってさらに活発であった可能性があるため、超新星残骸に代わる有力なペタ電子ボルトの銀河宇宙線源と考えるべきである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度