がん免疫学:肺に到達した先駆転移細胞に対して即時に起こる免疫応答の可視化
Nature 531, 7595 doi: 10.1038/nature16985
肺転移は多くのがんで致死の決定要因であり、転移発生には単球やマクロファージが重要な役割を担っていることが多くの証拠によって示されている。しかし、肺組織に定着する腫瘍細胞が肺に入った直後にどのような運命をたどるのかはよく分かっておらず、それらの腫瘍細胞が免疫系と最初に接触する際の状況もほとんど分かっていない。原発腫瘍は血液中に循環腫瘍細胞(CTC)を放出する。我々はCTCの転移先への到達とその後の宿主との相互作用について直接観察するために、マウスで安定な生体内2光子肺画像化モデルを開発した。本論文では、CTCの肺進入後数分以内に毛細血管のせん断流中で腫瘍微小粒子が活発に生じることを示す。このような微小粒子の多くは血流によって分散せず、肺の血管構造に付着したままとなるか、あるいは独立に血管内壁に沿って移動する。細胞系譜の蛍光レポーターとフローサイトメトリーを用いて、このCTC由来の成分を分別して連続的に取り込んだ異なる骨髄系細胞サブセットが「波」状に生じることが観察された。腫瘍由来粒子を取り込むこのような骨髄系細胞の多くは、転移に成功した腫瘍細胞と共にまとまって肺間質に蓄積し、従来から知られているように、生存している腫瘍細胞からの転移発生の成功を助けている。転移に曝露された肺ではこのような骨髄系細胞の数は全体的に増加し、腫瘍を取り込む骨髄系細胞は微小粒子の取り込みに伴って表現型が変化するが、CTCに接触する最後の細胞集団中では、肺に常在する通常型樹状細胞の集団(常時、少数である)が転移に対する防御に働く。今回の研究は、CTCの断片化が免疫と相互作用する中間物を発生させることを示しており、また転移性の細胞播種の際に腫瘍を取り込む食細胞集団の間に競合的な関係があることを明らかにしている。

