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生物地球化学:海洋酸性化の改善はサンゴ礁の純石灰化を増進する
Nature 531, 7594 doi: 10.1038/nature17155
大気中に毎年放出されている人為起源の二酸化炭素のうち約4分の1は、全球の海洋に吸収され、海洋表層のpH、炭酸イオン濃度([CO32−])、および炭酸塩鉱物の飽和状態(Ω)を有意に低下させている。海洋酸性化と呼ばれるこの過程は、海洋の生態系、中でもカキ、カニおよびサンゴなど海生の石灰化生物にとって大きな脅威となっている。実験室および実地での研究から、pH、[CO32−]およびΩの低下に伴い、多くの生物の石灰化速度も低下することが明らかになっている。サンゴ礁は、生態系の構造そのものが炭酸塩を分泌する生物に依存しているためもあって、海洋酸性化に対して最も脆弱な海洋生態系の1つだと広く考えられている。酸性化が引き起こす石灰化の減速は、今世紀中にサンゴ礁を純成長状態から純溶解状態へ移行させると予想されている。後ろ向き研究から、過去数十年にわたるサンゴおよび群集の石灰化の大規模な減速が明らかになっているが、こうした変化に対する海洋酸性化の関与を見極めることは、水温など他の環境要因の交絡作用があるために、不可能とは言えないまでも困難である。今回我々は、アルカリ度上昇に対するサンゴ礁原の純石灰化応答を定量化し、海洋の化学的条件が産業革命前に近い状態まで回復すると、群集の純石灰化が増進することを明らかにした。天然のサンゴ礁群集で海水の化学的条件を操作する初めての実験の結果から、群集の純石灰化が産業革命前の条件で見込まれる値を下回っているという証拠が得られ、海洋酸性化がすでにサンゴ礁の成長を妨げている可能性が示された。

