Letter

構造生物学:ラウス肉腫ウイルスのインタソームの結晶構造

Nature 530, 7590 doi: 10.1038/nature16950

逆転写によって生じたウイルスDNAの宿主ゲノムへの組み込みは、レトロウイルスの生活環に不可欠な段階である。レトロウイルスのインテグラーゼは、直鎖状のウイルスDNAの両端を宿主染色体に挿入する反応を触媒する。HIV-1や近縁のレトロウイルス由来のインテグラーゼには、触媒作用を持つコアドメインとそれを挟み込むアミノ末端ドメインとカルボキシ末端ドメインという3つから構成されるという共通点があり、これらのドメインは協調した組み込み反応に不可欠である。これらの他にDNA結合ドメイン1個と長いドメイン間リンカーを持つことが特徴のプロトタイプ泡沫状ウイルスのインテグラーゼについては、四量体インテグラーゼ–DNA複合体という構造が報告されているが、ドメイン3個を持つ典型的なインテグラーゼがDNAに結合した構造については、まだよく分かっていない。今回我々は、ウイルスDNA、標的DNAと複合体を形成した、ドメイン3個を持つラウス肉腫ウイルスインテグラーゼの結晶構造を報告する。この構造から、インテグラーゼが八量体を構成し、一対のインテグラーゼ二量体がウイルスDNAの末端に結合して触媒として働く一方で、触媒として働かないもう一対のインテグラーゼ二量体が2個のウイルスDNA分子の間を架橋して標的DNAの捕捉を助けることが明らかになった。8個のインテグラーゼ分子の各ドメインは複合体を結び付けるためのさまざまな役割を担っていて、タンパク質とDNA、タンパク質とタンパク質とが接触する大規模なネットワークを形成している。このような接触点には、プロトタイプ泡沫状ウイルスのインテグラーゼで観察されるものと比較した場合、保存されている特徴とこれらの間で異なる特徴の両方が見られる。今回の知見は、レトロウイルスのインタソーム構造の多様性を明らかにしていて、HIV-1や近縁のレトロウイルスの組み込み機構に関する手掛かりを与えてくれる。

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