Article

がんゲノミクス:髄芽腫の活性型エンハンサーから明らかになったサブグループ特異的な細胞起源

Nature 530, 7588 doi: 10.1038/nature16546

髄芽腫は悪性度の高い小児脳腫瘍であり、成長中の小児に壊滅的な影響を及ぼすことが多い。ゲノム研究から、髄芽腫には生物学的性質や臨床的挙動が異なり分子的に区別できる4種類のサブグループがあることが明らかになっている。しかし、髄芽腫サブグループの転写の全体像を支配する調節回路や、そうした回路とサブグループそれぞれの発生起源との関係についてはまだ明らかにされていない。本研究では、H3K27acとBRD4に対するChIP-seq(chromatin immunoprecipitation followed by sequencing)と、マッチする組織でのDNAメチル化データおよびトランスクリプトームデータとを組み合わせ、28の原発性髄芽腫標本について、活性型のシス調節の全貌を明らかにした。異なる調節を受けたエンハンサーやスーパーエンハンサーの解析から、サブグループ間の不均質性についての理解が深まり、髄芽腫の生物学的性質について、臨床に関連するこれまで知られていなかった手掛かりが得られた。核心となる調節回路の計算論的再構築から、転写因子のマスターセットが突き止められ、ChIP-seqでその検証が行われて、これがサブグループへの分岐の原因であることと、グループ4の起源となる細胞の候補が示された。大規模な一連の原発性腫瘍標本で我々が行ったエンハンサー配列の総合的解析は、シス調節構造や、知られていなかった依存性、さらに細胞起源についての考察をもたらすものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度