分類学:珍無腸動物門はNephrozoaの姉妹群である
Nature 530, 7588 doi: 10.1038/nature16520
珍無腸動物門の生命系統樹における位置付けは、動物の深い類縁関係に関する研究で大きな未解決問題として残されている。珍無腸動物門は、無腸類、皮中神経類および珍渦虫類からなる左右相称の海洋性蠕虫であるが、肛門、腎管および循環器など他の多くの左右相称動物に共通の特徴をいくつか欠いている。珍無腸動物門に関しては、他の全ての左右相称動物( = Nephrozoa、すなわち旧口動物と新口動物)の姉妹群だとする仮説と、新口動物内のクレードの1つだとする仮説が対立し、議論が続いている。そのため、このクレードの系統発生的な位置付けの決定は、左右相称動物の特徴の初期進化を解明する上で、あるいは複雑さの大幅な二次的喪失の事例として、極めて重要である。本論文では、珍無腸動物門をNephrozoaの姉妹タクソンとする説を裏付ける、系統ゲノミクスからの確固たる証拠を示す。我々は、新規の珍無腸動物トランスクリプトーム11例に基づき、最尤法およびベイズ推定法による解析の下で複数の異なる進化モデルを用いて系統発生解析を行い、この結果の強力な裏付けを得た。復元バイアスを潜在的に生じやすいデータ区分やタクソンを除外するように設計された25組の実験データセットを厳密に調べた結果、長枝誘引(long-branch attraction;LBA)、飽和、および欠測データはこれらの結果に影響を及ぼしていないことが示された。今回の系統ゲノミクス解析によって裏付けられたNephrozoaと珍無腸動物門の姉妹群関係は、左右相称動物の最終共通祖先がおそらく、上皮性腸管への開口部を1つのみ持つ、繊毛を有した無体腔の底生蠕虫であったと考えられることや、珍無腸動物門がNephrozoaのステム系統から分かれた後に排泄器官、体腔および神経索が進化したことを示唆している。

