エピゲノミクス:ES細胞におけるクロマチンリモデリング因子のゲノム規模でのヌクレオソーム特異性および機能
Nature 530, 7588 doi: 10.1038/nature16505
転写因子や一般的な転写装置はATP依存的なクロマチンリモデリング因子によりDNAに接近できるようになるが、哺乳類のクロマチンリモデリング因子が特定のヌクレオソームを標的として転写を調節するのかどうかは明らかになっていない。今回我々は、マウスの胚性幹(ES)細胞で、クロマチンリモデリング因子であるChd1、Chd2、Chd4、Chd6、Chd8、Chd9、Brg1、Ep400について、ゲノム規模でのリモデリング因子–ヌクレオソームの相互作用のプロファイルを示す。これらのリモデリング因子は、ミクロコッカスヌクレアーゼ(MNase)切断部位で境界が定義される、ヌクレオソームが存在していないプロモーター領域(NFR)に隣接する完全なヌクレオソームの一方あるいは両方に結合し、そこで転写の方向性を決める。意外にも、注釈付けされた転写開始部位の下流に広がるCpGが豊富な広範囲NFRには、それにもかかわらずヌクレオソームの構成要素ではない(サブヌクレオソームの構成要素である)ヒストンバリアント(H3.3およびH2A.Z)が結合しており、H3K4me3やH3K27ac修飾で標識されていた。従って、RNAポリメラーゼIIは、このNFRの3′末端でMNase耐性のヌクレオソームに遭遇するまで、センス方向に数百塩基対の変化したクロマチンを進む。リモデリング因子を除去した後にトランスクリプトーム解析を行うと、リモデリング因子群による転写調節の相反する機構が明らかになった。活発に転写される遺伝子では、個々のリモデリング因子はヌクレオソームの安定性を変化させることで正あるいは負の役割を担うが、ポリコームが豊富なバイバレント遺伝子では、同じリモデリング因子が逆の作用を示す。これらの知見は、リモデリング因子は、NFRの端で特定のヌクレオソームを標的とし、そこでES細胞の転写プログラムを調節していることを示している。

