ウイルス学:アデノ随伴ウイルス感染に不可欠の受容体
Nature 530, 7588 doi: 10.1038/nature16465
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、幅広い組織に指向性を持ち、非病原性で免疫原性が低いことから、ウイルスを用いる遺伝子治療で使われるベクターとして、現在のところ最有力候補となっている。これまでに血友病Bのような遺伝病治療の臨床試験に用いられて成果を挙げており、ヨーロッパでは、リポタンパク質リパーゼ欠損症の治療用として認可された。AAVバリアントに手を加えて新規の生物医学的に有用な細胞指向性を持つものを作って、効果的な全身投与を可能にしようと多くの試みがなされてきたが、AAVの細胞への侵入については、基本的な性質がまだほとんど解明されていない。特に、AAVが細胞に付着した後の細胞への侵入にどのような受容体が必要かはいまだに不明である。今回我々は、ヒトハプロイド細胞系列で遺伝的不偏スクリーニングを行い、AAV血清型2(AAV2)感染に不可欠なタンパク質を明らかにした。このスクリーニングで最も顕著に濃縮された遺伝子は、これまで性質が不明だったI型膜貫通タンパク質KIAA0319L[以下ではAAV受容体(AAVR)とする]をコードしている。AAVRは、迅速なエンドサイトーシスにより細胞膜から取り込まれてトランスゴルジ網へと運ばれるタンパク質であることが分かった。また、AAVRはAAV2粒子に直接結合すること、抗AAVR抗体がAAV2感染を効率よく阻害することを示す。さらに、AAVRの遺伝子を破壊すると、広範囲にわたる種類の哺乳類細胞がAAV2感染に対する高度な抵抗性を持つようになる。特に、調べた全てのAAV血清型に対してAAVRが重要な宿主側因子となることは注目すべきである。AAVRがin vivoでの遺伝子送達に重要なことは、Aavr−/−(別名Au040320−/−、あるいはKiaa0319l−/−)マウスがAAV感染に対して示すロバストな抵抗性によって、さらにはっきりした。総合するとこれらのデータは、AAVRがAAV感染に関わる普遍的な受容体であることを示している。

