Letter

材料科学:チャネルが原子レベルで薄いサブ熱電子トンネル電界効果トランジスター

Nature 526, 7571 doi: 10.1038/nature15387

情報技術の急激な成長は、シリコン系金属酸化物電界効果トランジスターの絶え間ないスケールダウンによって支えられてきた。しかし、このような技術はさらなるスケーリングに対して2つの主要な難題に直面している。1つは、チャネルにシリコンなどの従来型のバルク材料を使う場合、チャネル長が縮小すると、デバイスの静電性能(トランジスターのゲート電極がそのチャネル電位を制御する能力)が低下することである。最近、チャネル長を大幅に縮小してもデバイスの優れた静電性能を保つことができるため、二次元半導体材料がシリコンに代わる有望な候補材料として現れている。もう1つのより厳しい課題は、ターンオン特性の急峻さ、つまりサブスレッショルドスイングの基本的な熱電子限界のために、トランジスターの寸法と同じ比率で電源電圧を下げられなくなることである。消費電力の代償を払わずにスケーリングし続けるには、バンド間トンネリングなどのサブ熱電子サブスレッショルドスイングが得られる別のトランジスター機構が必要となる。今回我々は、急峻なターンオンを示す二次元半導体を用いたバンド間トンネル電界効果トランジスター(トンネルFET)を実証する。サブスレッショルドスイングは室温において、極小値が3.9ミリボルト/ディケイド(mV/decade)で、4 decadeのドレイン電流に対して、平均値が31.1 mV/decadeであった。高ドープゲルマニウムをソースに、原子レベルで薄い二硫化モリブデンをチャネルに使って、優れた静電性能、ひずみのないヘテロ界面、低いトンネル障壁、大きなトンネル面積の垂直ヘテロ構造を作製した。今回の原子レベルの薄さの層状の半導体チャネルを持つトンネルFET(ATLAS-TFET)は、4 decadeのドレイン電流にわたってサブ熱電子サブスレッショルドスイングを実現する唯一のプレーナー型構造のトンネルFETであり、あらゆる構造の内で0.1 Vという低い電源電圧でこれを実現する唯一のトンネルFETでもある。今回のデバイスは、現在のところチャネルが最も薄いサブ熱電子トランジスターであり、超高感度のバイオセンサーやガスセンサーだけでなく超高密度低消費電力集積回路への新しい道を開く可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度