Letter

生物物理学:RNAポリメラーゼIIによる転写開始のリアルタイム観察

Nature 525, 7568 doi: 10.1038/nature14882

生化学研究や構造研究から、RNAポリメラーゼIIによる転写の開始は、次のような段階を経て進むことが分かっている。すなわち、ポリメラーゼと基本転写因子とプロモーターDNAが「閉じた」転写開始前複合体(PIC)として集合し、これがプロモーターDNAを約15塩基対ほどいて「開いた」複合体が形成される。次いで、下流へ向かって転写開始部位が走査され、短い転写産物(約10ヌクレオチドと考えられている)が合成され、プロモーター領域からの離脱が起こる。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来の32個のタンパク質からなる1.5メガダルトンのPICを再配列し、次いで起こる転写開始過程を光ピンセットを使ってリアルタイムで観察した。予想に反して、転写因子IIHの働きによる開始部位の走査では、平均85塩基対分が急速に開いて長い転写バブルが生じ、それとともに、この伸びたバブルの全長に達する転写産物が合成され、その後プロモーター領域からの離脱が起こった。プロモーター領域からの離脱に失敗したPICでも、開いた複合体と伸びたバブルは形成されたが、これがつぶれて再び閉じた複合体あるいは開いた複合体へと戻り、結果として無駄な走査が繰り返された。

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