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神経科学:ウイルス遺伝学を利用した中枢ノルアドレナリン性回路の入出力構造の追跡

Nature 524, 7563 doi: 10.1038/nature14600

神経回路がその入力と出力に関して、解剖学的にどのように構成されているか知ることは、脳がどのように情報を処理するかを理解する上で助けになる。例えば青斑核のノルアドレナリン(別称ノルエピネフリン)性(LC-NE)ニューロンは、脳や脊髄の広い領域から入力を受け、かつ出力を送ることで、覚醒・注意・気分・感覚のゲーティングなどの多様な機能を調節している。しかし、LC-NEニューロンがどのように脳の広範囲への投射パターンを分業しているかや、青斑核では異なるLC-NEニューロンがおのおの異なる入力を受けているのかどうかは分かっていない。今回、ウイルス遺伝学を利用して神経回路の入出力関係を定量的に解析する手法を開発し、それを適用してマウスのLC-NE回路を解析した。狂犬病ウイルスを用いた入力マッピングでは、LC-NEニューロンが、従前から青斑核に軸索を送るとされていた脳の多くの領域に加え、小脳プルキンエ細胞など、これまで確認されていなかったシナプス前パートナーからも収束的にシナプス入力を受けていることが分かった。今回開発した「入出力関係追跡(TRIO;tracing the relationship between input and output)」法を用いると、軸索投射先とニューロンのタイプに基づいて選んだ特定のニューロン亜集団に対する入力を、シナプスをまたいで追跡することができる。さまざまな出力先に投射するLC-NEニューロンを調べたところ、それぞれおおむね似かよった入力を受けていることが分かった。投射先に基づいたウイルス標識によれば、1つの出力先に投射するLC-NEニューロンは、調べた限り他の全ての脳領域へも投射していた。従って、LC-NE回路全体としては多くの脳領域からの情報を統合し、かつ多くの脳領域に出力しており、これは脳の状態を制御するというLC-NEニューロンの第一義的な機能と符合する。同時に、LC-NEの回路の中には、いくつかのレベルにおいて特異性があることも分かった。出力構造と入出力関係をマッピングする今回の手法は、他の神経回路や他の動物にも適用可能である。さらに広くいえば、こうしたウイルス遺伝学的アプローチから、細胞タイプと投射パターンの共集合に基づいてニューロン群を選び出す効率の良い方法を作り出せる。

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