Letter
物理化学:単一超分子ナノファイバーにおける室温での長距離エネルギー輸送
Nature 523, 7559 doi: 10.1038/nature14570
長距離にわたる効率的な励起エネルギーの輸送は、光捕集系や分子エレクトロニクスにおける主要プロセスである。しかし、不規則な合成有機材料では、励起子の拡散距離は通常わずか10 nm程度で、特に優れている場合でも50 nm程度であり、主としてインコヒーレントな励起子ホッピングの確率法則によって決まる。巨視的距離にわたる励起エネルギー輸送が報告されているのは、例えば室温におけるアントラセン単結晶中の三重項励起子や、極低温(10 K、つまり−263°C)におけるモノマー結晶マトリックスに埋め込まれた単一ポリジアセチレン鎖など、規則性の高い有機系だけである。超分子ナノ構造体については、室温での一軸性長距離輸送は実証されたことがない。今回我々は、分子スケールの直径を持つ個々の自己集合ナノファイバーが、周囲条件において4 μm以上にわたって一重項励起子を効率的に輸送し、輸送距離がナノファイバーの長さによってのみ制限されることを示す。我々のデータは、この並外れた長距離輸送がほぼコヒーレントであることを示唆している。こうしたコヒーレント長距離輸送は、カルボニル架橋トリアリールアミン系の超分子構成要素を一次元的に自己集合させて、電子的相互作用の大きい明確なH型凝集体(個々のモノマーが面と面を向き合わせるように配列している)を形成させることによって実現された。今回の知見によって、有機ナノフォトニックデバイスや量子情報技術の開発が促進される可能性がある。

