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がん:黒色腫に内在しているβカテニンシグナル伝達は抗腫瘍免疫を阻止する
Nature 523, 7559 doi: 10.1038/nature14404
黒色腫の治療は、免疫療法という有効な手法が開発されたことで大きく変わりつつある。この戦略には活性化したT細胞上の免疫抑制性受容体の機能遮断が含まれていて、その例としては、CTLA-4、PD-1やPD-L1に対するモノクローナル抗体の使用が挙げられる。しかし、このような治療に応答を示すのは一部の患者だけで、データからは、治療効果は腫瘍に対するT細胞応答がすでに起こっている患者(治療開始前のベースラインで腫瘍微小環境内にCD8+ T細胞の浸潤が見られることが証拠となる)に選択的に見られると考えられている。それゆえ、症例によって自発的な抗腫瘍T細胞応答が存在したり、しなかったりすることの原因となる分子機構を解明すれば、T細胞の浸潤が見られない患者に対して治療法を開発するための解決策となる可能性がある。今回我々は、黒色腫細胞に内在する発がん経路の1つが、黒色腫でのT細胞浸潤の欠如に関わっていることを突き止めた。ヒト転移性黒色腫から採取された標品の分子解析から、WNT/βカテニンシグナル伝達経路の活性化とT細胞遺伝子発現シグネチャーの1つの欠如との相関が明らかになった。自所性腫瘍を発症する黒色腫マウスモデルを用いて、腫瘍に本来備わっている活発なβカテニンシグナル伝達がT細胞の排除と抗PD-L1/抗CTLA-4モノクローナル抗体治療に対する抵抗性を引き起こすという機構が明らかにされた。従って、特定の発がんシグナルは、がんの免疫回避と免疫療法への抵抗性を仲介することがあり、この結果はこのようなシグナルが免疫増強のための新しい候補標的となることを示している。

