Letter
有機金属化学:主族元素と複数のCOおよび関連配位子の錯体化
Nature 522, 7556 doi: 10.1038/nature14489
原子や分子フラグメントに複数の一酸化炭素(CO)分子が結合してマルチカルボニル付加物を形成できることは、遷移金属の基本的な特徴である。遷移金属カルボニル錯体は、工業に不可欠であり、ヒドロゲナーゼなど多くの酵素の活性サイトに自然に見られ、有望な治療薬となる他、星間塵雲で観測されたこともある。数多くの遷移金属マルチカルボニル錯体が作られているにもかかわらず、これまで、周期表の4族~12族以外の元素が2つ以上のCOユニットと直接反応して安定なマルチカルボニル付加物を形成した例はまだ示されていない。今回我々は、ボリレン・ジカルボニル錯体を合成したことを報告する。この錯体は、COを用いて合成された初の主族元素のマルチカルボニル錯体である。さらに、この化合物は、周囲の空気や湿気に対して安定である。今回用いた合成戦略は、ドナー配位子を用いて遷移金属からボリレン配位子を遊離させるというものであり、幅広く適用できるため、さまざまなルイス塩基性基を持つ新しい一価ホウ素種を数多く合成できる。こうした化合物が従来の遷移金属カルボニル錯体と類似していることは、光分解によりCOを遊離させた後、分子内炭素–炭素結合活性化を行うことによって実証された。

