Letter
地球物理学:水文学的に引き起こされた底面すべりによって生じるグリーンランド氷河上湖の排水
Nature 522, 7554 doi: 10.1038/nature14480
氷河上湖の下で水が駆動する割れ目の伝播は、大量の表面融解水をグリーンランド氷床底部へ急速に輸送している。こうした排水事象によって、氷床が一時的に加速され、融解期の終わりまでに水を表面から底部へさらに輸送する流路が作られる。割れ目が底部まで伝播するには水で満たされている必要があることは十分に立証されているが、湖の下で水圧破砕事象が起こる正確な機構は分かっていない。本論文では、グリーンランド氷床西部にある湖で、排水事象に先立って6~12時間にわたる氷床隆起や底面すべりの増大が起きていることを示す。密な全球測位システム(GPS)観測網による今回の観測によって、2011~2013年の3回の急速な排水事象中とその前後における氷床底部の融解水分布を決定できた。それぞれの排水事象では、湖の下で水圧破砕を促進させる引張応力が発生していた。我々は、こうした先行現象は、隣接する氷河甌穴系(氷床の表面と底部を連結する鉛直の流路)を通した底面への融解水輸送と関連していると推論する。今回の結果は、クレバスが少なく、現在は底部に水があまり広がっていない氷床内陸部で湖が形成される場合には、湖からの排水による水圧破砕に起因する表面から底部への新たな流路の形成は限定されている可能性があることを示唆している。

