生化学:ペプチドシンテターゼのXドメインは糖ペプチド生合成に不可欠なオキシゲナーゼを誘導する
Nature 521, 7550 doi: 10.1038/nature14141
非リボソーム型ペプチドシンテターゼ(NRPS)は巨大な酵素複合体で、リボソームに依存せずにさまざまなペプチド代謝産物の生合成を行う、モジュラー式の組み立てラインである。NRPS装置では、その触媒ドメイン間の多数の相互作用の他にも、外部の酵素、特にペプチドの最終的な成熟過程に関わる酵素との相互作用が存在して機能を補完している。NRPSの代謝産物の中で、NRPSに結合したペプチドの外部酵素による広範な修飾を必要とする重要なグループの1つが糖ペプチド抗生物質(GPA)で、これにはバンコマイシンやテイコプラニンなどが含まれる。臨床に関わりのあるこれらのペプチド抗生物質は、シトクロムP450が触媒して芳香族側鎖が酸化的に架橋されることにより、活性を持つ最終的なコンホメーションが出来上がる。しかし、NRPSに結合したペプチドの所へシトクロムP450オキシゲナーゼを誘導する仕組みは、これまで知られていなかった。今回我々は、in vitro研究により、どのGPA NRPS装置の最終モジュールにも必ず存在する、保存された機能不明のXドメインが、オキシゲナーゼをNRPSに結合したペプチドへと誘導して必要な側鎖の架橋を行わせる役割を担っていることを明らかにした。X線結晶解析によって、Xドメインは縮合ドメインに近縁の構造だが、アミノ酸を置換すると触媒活性を失うことが分かった。XドメインがシトクロムP450オキシゲナーゼをNRPSに誘導することが判明したので、P450–Xドメイン複合体の構造を解くことにより、その接触面を決定した。さらに、ペプチド前駆体のin vitroでのオキシゲナーゼによる修飾(特にGPA生合成における2つ目の架橋の導入)は、Xドメインが存在する場合にだけ起こることが実証された。これらの結果は、GPA生合成の際にペプチジルキャリヤータンパク質(PCP)に結合した基質に酸化反応を受けさせ、前駆体ペプチドを成熟アグリコンに確実に変換するには、NRPSのXドメインが必要であり、外部のシトクロムP450オキシゲナーゼが作用できる基質を作るには、キャリヤータンパク質ドメインだけでは必ずしも十分ではないことを示している。

