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材料科学:ウエハースケールの均一性を持つ、原子3個分の厚さの高移動度半導体膜

Nature 520, 7549 doi: 10.1038/nature14417

半導体薄膜の大面積成長は、現代のエレクトロニクスやオプトエレクトロニクスの基礎となっている。膜厚を原子レベル、すなわちサブナノメートルスケールという極限まで薄くすることは、従来の半導体(Si、GaAsなど)では困難な限界だが、極薄フレキシブル・エレクトロニクス、光起電力技術、ディスプレー技術への応用に幅広い恩恵をもたらすと思われる。この目的には、原子3個分の厚さの安定な単層膜を形成できる遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)が、電荷キャリア移動度の高い理想的な半導体材料となる。TMDを絶縁体基板上に大面積成長させることができれば、原子レベルの薄さの高性能トランジスターや光検出器を、膜の転写を行わずに、技術的に妥当なスケールでバッチ製造できるようになる。加えて、TMDの独特な電子バンド構造を利用することによって、そうしたデバイスの機能性(大きな励起子効果、バンドギャップ変調、間接–直接バンドギャップ転移、圧電性、バレートロニクスなど)を向上させる新しい方法が得られる。しかし、空間的均一性と高い電気的性能を持つ単層TMD膜の大面積成長は、未解決の課題である。今回我々は、4インチウエハースケールの高移動度単層二硫化モリブデン(MoS2)膜と二硫化タングステン膜をSiO2絶縁体基板に直接成長させ、これらの単層膜が膜全体にわたって優れた空間的均一性を示すことを報告する。こうした単層膜は新しく開発した有機金属化学気相成長法で成長させたものである。得られたMoS2膜は、電子移動度が室温で30 cm2 V−1 s−1、90 Kで114 cm2 V−1 s−1という良好な電気的性能を示し、そうした性能は位置やチャネル長にほとんど依存しなかった。我々は、こうした単層膜を用いて、高性能単層MoS2電界効果トランジスターのウエハースケールのバッチ製造(デバイス歩留まり99%)の実証に成功するとともに、三次元回路用の垂直積層トランジスターデバイスの多段階製造の実証にも成功した。今回の成果は、原子レベルの薄さの集積回路の実現に向けての一歩となる。

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