Letter

宇宙物理学:銀河系の内側の数パーセクに広がった硬X線放射

Nature 520, 7549 doi: 10.1038/nature14353

銀河系の中心部の内側数パーセクには、不可解な星の集団が存在しており、中心部の超大質量ブラックホールであるいて座A*の深いポテンシャル井戸に束縛された、驚くほど若く比較的重い星を大量に伴っている。これまでの研究では、中心を取り囲む数百パーセク内で軟X線(10 keV未満)を放射する天体の集団は、銀河面に沿って広がっている未解決のX線放射の原因となっている集団と同様に、降着を受けている白色矮星系が支配的であることが示唆されている。しかし、内側の10パーセクに拡散した硬X線(10 keV以上)放射の観測は、従来機器の制約された空間分解能では困難であった。本論文では、中心部の4 × 8パーセク内にはっきりと見分けられる硬X線成分が存在することが、20~40 keVの範囲の1分角未満の分解能の画像で明らかになったことを報告する。このX線放射は、銀河中心に向かうにつれて、軟X線を放射する天体集団の表面光度よりも急激に強くなっている。このことは、降着を受けている白色矮星の著しく質量の大きな集団、低質量X線連星やミリ秒パルサーの大集団、周辺の放射場や高密度分子物質や磁場と相互作用している粒子のアウトフローなどの存在を示している可能性がある。しかし、これらの説明は全て、銀河系中心部における星の進化、連星系の形成、宇宙線の生成に関する我々の理解に対して大きな疑問を投げ掛けるものである。

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