生態学:世界のサンゴ礁魚類の回復能
Nature 520, 7547 doi: 10.1038/nature14358
サンゴ礁生態系の劣化は一向に止まらず、そのため、サンゴ礁のレジリアンス(復元力)を管理によってどう後押しできるかに多大な関心が集まっている。漁業がサンゴ礁の全球的な機能低下の主な要因であることから、魚類バイオマスを回復させて重要な生態系機能を元の状態に戻すため、新たな海洋保護区の設定を求める声が広く上がっている。しかし、こうした保全目標がいつ達成されたのか、あるいは代替的な管理戦略が生態系に同様の利益をもたらすかどうかを判断するための確立された基準は存在しない。本研究では、人間活動による消費の勾配全体にわたる800を超すサンゴ礁について回復能を調べ、サンゴ礁の評価および管理に使えるような、実験に基づく保全基準および魚類バイオマス回復タイムラインを確立した。漁獲が行われていないサンゴ礁に生息する魚類のバイオマス(B0)は平均で約1000 kg ha−1だが、漁獲が行われているサンゴ礁の大部分(83%)では想定されるバイオマスの半分以上が失われており、捕食などの重要な生態系機能への深刻な影響が見られることが明らかになった。漁獲から保護することで、サンゴ礁の魚類バイオマスは平均で35年以内に回復でき、バイオマスが著しく減少した場合でも60年足らずで回復できる可能性がある。特に、代替的な漁業規制はバイオマスをB0の50%超に保つ上で大部分(64%)に有効であり、植食などの重要な機能が維持される。今回の結果は、極めて重要な生態系機能が各種の漁業規制によって維持され得ることを示しており、これによってサンゴ礁の管理者は、海洋保護区の設定が社会的または政治的に実行不可能な海域で、保全目標と生計目標を両立させるような回復計画を策定することが可能となる。

