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がんゲノミクス:致死的な転移性前立腺がんの進化史

Nature 520, 7547 doi: 10.1038/nature14347

がんは進行中のダーウィン進化の過程から生じ、単一の原発腫瘍内に複数の競合するサブクローンが発生することも多い。この進化過程は最終的に転移巣の形成に至り、転移はがん関連死の原因の90%を占める。しかし、その臨床的重要性にもかかわらず、がん細胞の遠隔器官への播種を支配する原理についてはほとんど分かっていない。各転移巣は単一の腫瘍細胞に由来するという仮説が一般的に支持されているが、がんのマウスモデルを用いた最近の研究からは、複数のサブクローンに由来する多クローン性播種の存在や、複数のサブクローン間のクローン間協調の存在が明らかになっている。今回我々は、ヒト悪性腫瘍における多クローン性播種の存在の決定的な証拠を求めて、アンドロゲン除去療法を受けた転移性前立腺がん患者の異なる転移巣間のクローン関係性を確立した。全ゲノム塩基配列解読により、10人の患者の前立腺腫瘍から生じた複数の転移巣の特徴付けを行った。サブクローン構造の統合解析から、転移の拡散パターンがこれまでにないほど詳細に明らかになった。転移巣から転移巣へという拡散がありふれたものであることが分かり、こうした拡散は、娘転移巣のde novo単クローン性播種によって起こるか、あるいは5人の患者で見られたように、転移部位間での複数の腫瘍クローンの移動によって起こっていた。がん抑制遺伝子の損傷は通常、単一の事象として起こるが、アンドロゲン受容体シグナル伝達に関与する遺伝子の変異には一般的に、異なる転移巣での複数の収斂的な事象が関わっていた。以上の結果によって、前立腺がんにおける転移の複雑な拡散パターンが詳細に解明され、また、アンドロゲン除去療法に対する抵抗性の発生についての理解がさらに深まった。

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