Letter
有機化学:不均一系触媒を用いた(R)-および(S)-ロリプラムの多段階連続フロー合成
Nature 520, 7547 doi: 10.1038/nature14343
化学品の製造は、バッチ法か連続フロー法のいずれかを用いて行われる。フロー法には、特に生産性、熱効率、混合効率、安全性、再現性の点で、バッチ法に勝る長所がある。しかし、連続フロー法では医薬品などの複雑な構造を有する分子の合成が困難であったため、医薬品製造には50年以上にわたってバッチ法が用いられてきた。今回我々は、不均一系触媒を充填したカラムのみを用いる医薬品の連続フロー合成について報告する。アキラル不均一系触媒またはキラル不均一系触媒を充填した合計4本のカラムに、市販の出発物質を順次通過させ、抗炎症薬でγ-アミノ酪酸(GABA)誘導体ファミリーの1つである、(R)-ロリプラムを合成した。さらに我々は、キラル不均一触媒を充填したカラムを、逆のエナンチオマーを充填した別のカラムに置き換えるだけで、対掌体の(S)-ロリプラムを得ることができた。同様に、GABAファミリーに属する別の医薬品、(R)-フェニバットの合成も行った。これらのフロー法は簡便かつ安定であり、金属触媒の漏出も見られない。今回の結果は、不均一触媒のみを用いたフロー条件の下で、医薬品合成を目的とした多段階(今回の場合は8段階)化学変換が、中間体の単離や、触媒、共生成物、副生成物、過剰試薬の分離を行わなくても円滑に進行することを実証したものである。我々は、本フロー合成法が医薬品製造に役立つことを期待している。

