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がん治療学:治療で誘発される腫瘍セクレトームが、治療抵抗性と腫瘍のプログレッションを促進する
Nature 520, 7547 doi: 10.1038/nature14336
キナーゼ阻害剤によるがんの標的治療では、例外なく薬剤耐性によって臨床的有効性が制限される。今回我々は、BRAF、ALK、またはEGFRキナーゼ阻害剤による標的治療を行うと、これら薬剤によるストレスのかかったヒトとマウスの黒色腫細胞やヒト肺腺がん細胞で、分泌シグナルによる複雑なネットワークが誘発されることを明らかにする。治療によって誘発されるこのセクレトームが、薬剤耐性がん細胞クローンの増殖、播種、転移を促進し、薬剤耐性がん細胞の生存を助け、腫瘍が完全に退縮しない一因となっている。キナーゼ阻害剤ベムラフェニブによって処理された黒色腫細胞では、この腫瘍促進性セクレトームは転写因子FRA1が下方制御されることによって生じる。退縮中の腫瘍微小環境に応答した薬剤耐性黒色腫細胞のトランスクリプトームをin situで解析したところ、複数のシグナル伝達経路が過剰に活性化しており、最も顕著なのがAKT経路であることが分かった。RAFとPI(3)K/AKT/mTOR細胞内シグナル伝達経路を二重に阻害すると、BRAF変異型ヒト黒色腫で薬剤耐性細胞群の増殖が抑制されたことから、この併用療法が腫瘍の再発を阻止する方法になることが示唆される。従って、薬剤感受性がん細胞で発がんドライバー遺伝子を治療的に阻害するとセクレトームが大きく変化し、逆説的に薬剤耐性クローンの増殖を助ける腫瘍微小環境が確立してしまうが、この環境は併用療法に感受性がある。

