Letter

細胞微生物学:マウス・セグメント細菌のin vitroでの増殖および宿主との相互作用

Nature 520, 7545 doi: 10.1038/nature14027

腸内微生物相は、宿主の腸管粘膜免疫系の成熟に重要な役割を果たしている。腸内に存在する1000種もの細菌のうち、共生性のセグメント細菌(segmented filamentous bacteria;SFB)は、出生後のB細胞区画およびT細胞区画の成熟を強力に促進し、小腸のTh17応答の大幅な増加を誘導できる点で独特である。SFBは他の共生微生物とは異なり、回腸の吸収上皮細胞とパイエル板を覆う細胞に強く接着している。SFBのこのような定着状況は病的状態にはつながらず、むしろ宿主を病原体から守る働きをしている。しかし、SFBの持つ重要な免疫賦活作用の基盤となるSFB–宿主相互作用についてはほとんど分かっていない。それは、SFBのin vitro培養が50年以上にわたって試みられているにもかかわらず、成功していなかったためである。今回我々は、SFB–宿主細胞の共培養系を用いて、マウスのSFBを宿主の体外で培養することに成功した。単一種の菌だけが生着したマウスから単離した1個のSFB細胞を培養すると、繊維状になって分節化が起こり、分化して生存力を持つ感染性粒子(細胞内子孫粒子)を放出するようになる。細胞内子孫粒子はマウスに定着して、この細菌に特徴的な免疫応答を誘発できる。この細胞内子孫粒子はin vitroでも、宿主となるマウスやヒトの細胞に接着して、アクチンを誘引できる。また、SFBは宿主の自然防御に関わる遺伝子、炎症性サイトカイン、ケモカインの上方制御を強力に誘導できる。従ってin vitro培養系はin vivoニッチの状態を模倣していて、SFBの増殖の必要条件やSFBの免疫賦活作用に関する新たな手掛かりをもたらし、SFBの複雑な発生過程の研究や独特なSFB–宿主相互作用の細胞レベルや分子レベルでの詳しい解析を可能にする。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度