細胞生物学:ホスホジエステラーゼ9Aは一酸化窒素非依存的cGMPと肥大型心疾患を制御する
Nature 519, 7544 doi: 10.1038/nature14332
サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)は一酸化窒素およびナトリウム利尿ペプチドに共役したシグナルを伝達するセカンドメッセンジャーであり、プロテインキナーゼGによるリン酸化変化を刺激する。cGMP産生の亢進あるいはホスホジエステラーゼ5A(PDE5A)によるcGMP分解の阻害は、心血管疾患に対し保護的に作用する。しかし、cGMP産生刺激のみではPDEの発現上昇などの対抗適応により効果は限定的である。さらに、PDE5Aは一酸化窒素により産生されるcGMPを調節するが、一酸化窒素シグナル伝達は心疾患においてしばしば低下している。ナトリウム利尿ペプチドに共役したcGMPを制御するPDEはいまだ不明である。今回我々は、cGMP選択的PDE9Aがヒトを含む哺乳類の心臓に発現しており、心肥大や心不全で発現上昇することを示す。PDE9Aは心筋細胞や心筋において一酸化窒素刺激によるcGMPよりむしろナトリウム利尿ペプチド刺激によるcGMPを調節しており、その遺伝学的あるいは選択的薬理学的阻害は神経ホルモンや持続性圧負荷ストレスに対する病的応答に保護的である。PDE9A阻害は一酸化窒素合成酵素(NOS)活性とは無関係にすでに成立した心疾患を改善する一方、PDE5A阻害は活性化NOSを必要とする。それぞれのPDEを選択的に阻害した心筋細胞における転写因子活性化およびリン酸化プロテオーム解析から、大幅に異なる標的と、NOS活性化に対しより感受性の高いPDE5A阻害とは異なるリン酸化変化が明らかとなった。従って、PDE5Aとは異なり、PDE9Aは一酸化窒素経路非依存的にcGMPシグナル伝達を調節でき、そしてストレス誘発性心疾患におけるその役割から、治療標的としての可能性が示唆される。

