分子生物学:in vivoでの構造的インプリントによりRNA調節機構を解読する
Nature 519, 7544 doi: 10.1038/nature14263
生細胞内での分子の挙動の物理学的基盤を可視化することは、生物学における重大な難問である。RNAは生物学的調節に重要な役割を果たしており、特定の構造をとることで、遺伝子発現プログラムのあらゆる段階を密接に制御している。しかし、生理的条件下でのRNAの構造についての知識は限られていて、現在得られているin vivo RNA構造プロファイルには、RNAを構成する4種類のヌクレオチドのうちの2つだけしか含まれていない。本研究では、icSHAPE(in vivo click selective 2′-hydroxyl acylation and profiling experiment)という新規な生化学的手法を示す。icSHAPEによって、我々の知るかぎりでは初めて、4つのヌクレオチド全てについて生細胞中でのRNA二次構造の全体像を見ることが可能になった。マウスの胚性幹細胞トランスクリプトームのicSHAPEと、精製RNAのin vitroでの折りたたみの比較から、細胞環境中でのRNAの構造動態によって、さまざまな種類のRNAや調節エレメントが区別できることが明らかになった。翻訳開始点やリボソーム休止部位の構造的特徴は、in vitro条件下のものが保存されていることから、これらのRNAエレメントは塩基配列により構造がプログラムされていると考えられる。対照的に、in vivoでの局所的な構造再編成からは、RNA結合タンパク質あるいはRNA修飾部位とRNAの間の正確に決まった接触面が明らかになり、これは原子分解能での構造データと一致している。このような動的な構造フットプリントによれば、RNAとタンパク質の相互作用や、ゲノム全体にわたるN6-メチルアデノシン(m6A)修飾の正確な予測が可能となる。以上の結果は、生細胞でのRNAの構造ゲノミクスへの道を開き、遺伝子発現を制御している重要な生理学的構造を明らかにするものである。

