Letter

神経科学:ショウジョウバエの脳での温度表現

Nature 519, 7543 doi: 10.1038/nature14284

ショウジョウバエ(Drosophila)は、急激な温度変化を末梢の専用受容器によって感知し、脳に温、冷の単純な感覚マップを描く。しかし、ハエは温度に対して、先天的に、また学習により多くの複雑な応答を示すことから、ハエがこの単純な入力から幅広い情報を抽出できることが示唆される。今回我々は、ショウジョウバエの脳で温度が解剖学的、生理学的にどのように表現されるかを明らかにする。まず、光標識法を用いて、末梢の温度感覚情報をより高次の脳中枢へと伝える神経接続を追跡し、主に3つの標的領域に収束することを示す。3つとは、キノコ体と側角(この2つは感覚処理中枢としてよく知られている)、および前大脳後側部で、我々はこの前大脳後側部が、温度感覚表現の主要部位であることを突き止めた。次に、in vivo カルシウム画像化法により、温刺激あるいは冷刺激によって選択的に活性化される温度感覚投射ニューロンを明らかにする。速く順応するニューロンは一過性のオン・オフ応答を示し、急激な温度変化を非常によく追跡する。一方、順応の遅いニューロンの応答は、温度変化の大きさをよりよく反映する。意外にも、加温と冷却の両方に応答する広域同調性ニューロン集団も見つかり、選択肢2つの単純な温度嗜好分析で、これらのニューロンが高温、低温の両方に対する正常な回避行動に必要なことが分かった。以上より、ショウジョウバエの脳では、温度に対する異なった神経応答が協調しながら働いていることが明らかになり、幅広い温度に同調する系が迅速な回避行動に役立っており、刺激の質、時間的構成、そして強度が、1個のシナプス観測点で単純な糸球体マップから抽出される仕組みが示された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度