構造生物学:真核生物複製起点認識複合体の結晶構造
Nature 519, 7543 doi: 10.1038/nature14239
細胞でのDNA複製の開始は、ゲノムの完全性を維持するために厳重に制御されている。真核生物では、ヘテロ六量体の複製起点認識複合体(ORC)が、複製開始の調整に必須である。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)ORCの3.5 Å分解能での結晶構造を報告し、270キロダルトンの開始コア複合体が切れ目のある輪状構造が重なった二層構造であって、そこではAAA+(ATPases associated with a variety of cellular activities)型に折りたたまれた層の上に、Orc1からOrc5までのサブユニットが作り出すウイングドヘリックスドメインの襟状構造が存在することを示す。6つのORCサブユニットのうちの4つの間には、典型的なAAA+ドメイン間相互作用が存在するが、予想外の特徴も明らかになった。それらは、ウイングドヘリックス型折りたたみ構造と隣接するプロトマーのAAA+モジュールの間に、しっかりと組み合わさったドメインスワッピング相互作用が存在すること、また複合体の中央にはDNA結合エレメントが疑似らせん状に配置されて、これが直径がほぼ20 Åのチャネルを取り囲んでいることである。構造の比較分析から、複製に働くヘリカーゼが結合する際に、ORCはそのウイングドヘリックスドメイン面を用いてミニクロモソーム維持2–7(MCM2–7)複合体を引き込んでDNAを取り囲むことが示された。しかし、Orc1のAAA+ドメインでは90°を超える平面外回転が観察され、この動きによってOrc4中の触媒アミノ酸との相互作用が消失して、中央チャネルへの進入口が狭められて閉じる。我々のデータはショウジョウバエのORCは活性型と自己阻害型のコンホメーションの切り替えができることを明確に示しており、細胞周期や発生の際のORC機能の制御のためのこれまで知られていなかった方法を示唆している。

