Letter

化学生物学:ヒトtRNA合成酵素はレスベラトロールの強力なPARP1活性化エフェクター作用の標的である

Nature 519, 7543 doi: 10.1038/nature14028

レスベラトロールは、生存関連遺伝子の発現を誘導するストレス応答を開始させて寿命を延長し、また心臓や神経の保護作用、抗糖尿病作用や抗がん作用をもたらすことが報告されている。ヒトのチロシン転移RNA(tRNA)合成酵素(TyrRS)はストレス状況下で核へ移行することから、我々はレスベラトロールのチロシン様のフェノール環が、TyrRSの活性部位ポケットに適合してTyrRSの核での機能に影響を及ぼすのではないかと考えた。本研究では、TyrRSの活性部位に結合したレスベラトロールの2.1 Å分解能での共結晶構造を示す。レスベラトロールはTyrRSの触媒活性を消失させて核内機能を果たすように仕向け、PARP1(poly(ADP-ribose) polymerase 1)のNAD+依存的な自己ポリADPリボシル化を促進する。TyrRS–PARP1–NAD+の恊働作用の結果として、重要なストレスシグナル伝達経路の下流の活性化が引き起こされる。この恊働作用はマウスでも実証され、in vivoでレスベラトロールをチロシルアデニル酸類似体で置き換えると特異的に阻害された。活性部位を除去するような選択的スプライシングによって作られた、触媒活性のない機能的に多様なtRNA合成酵素とは対照的に、スプライシングによらないで触媒活性をなくした今回のTyrRSは、レスベラトロールの生理機構におけるPARP1依存的およびNAD+依存的な新たな特性を明らかにしている。

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