Article
実験進化学:高分解能の系統追跡法を用いた進化動態の定量
Nature 519, 7542 doi: 10.1038/nature14279
世界の死亡例のうち、細菌や真菌、寄生生物、がんによる死亡を含む約30%には、大きな無性細胞集団の進化が関わっている。しかし、こうした進化過程の基盤となる動態はまだあまり解明されておらず、その理由は、競合する有益な系統が多数この動態に関わっており、その多くが集団内で極端に低い頻度にとどまっているためである。こうした通常は表に出てこない進化動態を観察するため、我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)で塩基配列解読に基づく超高分解能の系統追跡システムを構築し、これを用いて約50万系統の相対頻度を同時に追跡した。その結果、一部の予想に反して、有益な変異が適応度に及ぼす影響のスペクトルは指数関数的でも単調でもないことが分かった。初期の適応はこのスペクトルから予測できる結果の1つで、再現性も極めて高いが、影響の小さい最初の変異は影響の大きい希少な変異にすぐに打ち負かされ、それが同型集団の間の差異につながっていく。以上の結果は、確率論的な影響が重要になる前の一定期間には、初期の進化動態が決定論的に働いている可能性を示唆している。

