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構造生物学:不眠症治療薬スボレキサントと結合したヒトOX2オレキシン受容体の結晶構造

Nature 519, 7542 doi: 10.1038/nature14035

オレキシン(別名ヒポクレチン)に対するGタンパク質共役受容体(GPCR)は、中枢神経系でオレキシン神経ペプチドに反応し、ヒトで睡眠などの行動機能を調節している。オレキシンシグナル伝達の異常は、ナルコレプシーや脱力発作などのヒト疾病の原因であり、またオレキシン受容体の阻害は不眠症に対する有効な治療法となっている。ヒトのOX2受容体(OX2R)はGPCRのロドプシンファミリーのβ群に属し、天然のアゴニストであるオレキシンAやオレキシンB、また強力な治療用阻害薬であるスボレキサントなどの多様な化合物と結合する。今回我々は、脂質に媒介される結晶化とタンパク質工学の手法で作製した新規な融合キメラタンパク質を用いて、スボレキサントと結合したヒトOX2Rの構造を2.5 Åの分解能で解いた。その構造から、スボレキサントがπスタック型の馬蹄形様のコンホメーションをとり、受容体内部の深い所でオルソステリックポケットに結合して、細胞外塩橋のネットワークを安定化し、活性化に必要な膜貫通ヘリックスの動きを阻害する仕組みが明らかになった。計算機によるドッキングからは、他の種類の合成アンタゴニスト群が類似したπスタック型に重なって同じような位置で受容体と相互作用する際の機序と思われるものが示唆される。ヒトOX2Rの分子構造が解明されたことにより、ペプチド作動性GPCRのリガンド認識について解明が進み、これは治療目的でのオレキシンシグナル伝達調節へのさらなる努力を助けるだろう。

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