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構造生物学:Fアクチン–トロポミオシン複合体の構造

Nature 519, 7541 doi: 10.1038/nature14033

繊維状アクチン(Fアクチン)は筋肉の細いフィラメントの主要なタンパク質であり、アクチンのマイクロフィラメントは真核生物細胞骨格の主な成分である。多様なアクチンアイソフォームに生じる変異により、早発性で常染色体優性の非症候性遺伝性難聴や家族性胸部大動脈瘤・解離、また多様な筋疾患が引き起こされる。横紋筋繊維では、ミオシンモーターのアクチン繊維への結合は、トロポミオシンとトロポニンにより主に調節されている。トロポミオシンは、平滑筋や非筋細胞ではFアクチンにも結合し、そこではトロポニン無しで繊維の安定化と調節を行っている。単量体アクチン(Gアクチン)の結晶構造はすでに得られているが、Fアクチンの高分解能構造はまだ得られておらず、疾病を引き起こす変異が細い筋繊維やマイクロフィラメントの機能に影響する仕組みの解明が妨げられている。今回我々は、トロポミオシンと複合体を形成したFアクチンの三次元構造を、Fアクチンについては分解能3.7 Åで、またトロポミオシンについては分解能6.5 Åで、低温電子顕微鏡法により決定した。その構造から、Dループが秩序立った構造をとり、Fアクチン繊維を安定化する疎水性および静電的な相互作用の中心領域として働いていることが明らかになった。我々は、ADPやMg2+に対応する密度マップを明確にし、疾病を引き起こすよく知られた変異について予想される影響を明らかにした。FアクチンとGアクチンとの比較から、繊維形成中のコンホメーション変化が明らかになり、Dループがその重要なメディエーターであることが突き止められた。また、負電荷を持つトロポミオシンがFアクチン上の正電荷を持つ溝と相互作用していることが確認された。Fアクチン–トロポミオシン構造中でのトロポミオシンの位置と、我々が以前に決定したFアクチン–トロポミオシン–ミオシン構造中の位置の比較から、ミオシンにより引き起こされるトロポミオシンの移動が明らかになった。今回の結果により、アクチンやトロポミオシンが関係する疾病の原因となる各変異の役割が明らかにされ、これは標的を定めた薬剤開発のための強力な基盤となると考えられる。

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