生化学:天然変性タンパク質の1つはリン酸化によって折りたたまれて調節スイッチとなる
Nature 519, 7541 doi: 10.1038/nature13999
天然変性タンパク質(intrinsically disordered protein)は、細胞のシグナル伝達、転写、翻訳、細胞周期調節に重要な役割を果たしている。多くの天然変性タンパク質は安定した三次元構造を持たないものの、対象と結合すると、それに応じて無秩序状態から秩序のある状態へと変化する。これと同様に、折りたたみ構造を持つタンパク質の中にも、調節を受けながら秩序立った状態から無秩序状態へと変化して、生物学的機能を果たすものが複数知られている。原則的には、天然変性タンパク質の機能を制御しているのは、折りたたみなどの構造変化を引き起こす翻訳後修飾だろうと考えられているが、実例はこれまで見つかっていなかった。天然変性タンパク質である4E-BP2は、eIF4Eに結合してキャップに依存した翻訳開始を抑制する3種類の哺乳類タンパク質からなるファミリーの主要な神経系アイソフォームである。今回我々は、4E-BP2では複数の部位がリン酸化されると折りたたみが誘発されることを明らかにする。リン酸化されていない状態では、4E-BP2はY54から始まる標準的なYXXXXLΦモチーフ(結合によって無秩序状態からヘリックスへと変化する)と動的な二次結合部位を使ってeIF4Eと強く結合する。T37とT46がリン酸化されると、4E-BP2のアミノ酸残基P18からR62に至る領域が折りたたまれて4本のβストランドからなるドメインが形成され、それによってYXXXXLΦヘリックスモチーフが部分的に埋もれたβストランド内に隠されるためにeIF4Eに近づけなくなる。折りたたまれた状態のpT37pT46 4E-BP2は安定性が低く、親和性は100分の1に低下する。eIF4Eが結合すると秩序立った状態から無秩序状態への変化が起こるが、完全にリン酸化された4E-BP2はもっと安定性が高く、親和性は約4000分の1に低下する。これらの結果は、リン酸化によって誘発される折りたたみ構造の安定化が4E-BP:eIF4E間の相互作用のリン酸化による調節機構の重要な段階であることを明確に示しており、天然変性タンパク質を介する生物学的調節の新しい様式を示している。

