幹細胞:in vivoでの幹細胞からの定常状態の造血の基本的な特性
Nature 518, 7540 doi: 10.1038/nature14242
造血幹細胞(HSC)は、免疫細胞や血液細胞が枯渇したレシピエントへのHSC移植により広く研究されている。単一のHSC集団は移植後に造血系を再構築できる。移植されたHSCの染色体標識、ウイルス組み込みおよびバーコーディングから、非常に少数のHSCが連続的な分化細胞の流れを永続させることが示唆されている。しかし、通常の造血過程で細胞を作り出しているHSCの数や、分化中の子孫細胞の流れは分かっていない。本論文では、骨髄の最も未分化なTie2+ HSCに誘導性遺伝的標識付けが可能なマウスモデルを構築し、限界希釈法およびデータに基づいたモデル化により、造血系の発達に伴う標識の進行状況を定量化した。標識誘導後の成体マウスでは、造血系の維持中、少なくとも30%つまり約5000個のHSCが細胞を作り出している。しかし、標識HSCとその子孫細胞が平衡状態に近づくまでの期間は意外なほど長く、その時間スケールはマウスの寿命を超える。実際、成体の造血は、HSCの下流のこれまで「短期」幹細胞とされてきた幹細胞(ほぼ完全に自己複製し、まれであるがポリクローナルなHSCから供給を受ける)によって主に維持されていることが分かった。対照的に、胎児期および出生後初期には、HSCが迅速に用いられて、免疫系や血液系を確立する。成体マウスでは、5-フルオロウラシル(5-FU)誘発性の白血球減少症は、HSCやその下流の構成細胞の生産量を増やすことで造血細胞の流れを促進する。標識の追跡から、成体マウスでは、リンパ系の生産量よりも骨髄系の生産量が数百倍多いという細胞系譜の強い偏りがあることも明らかになった。この偏りは加齢につれて、わずかしか大きくならない。最後に我々は、移植はHSCの生着に厳しい制約を課すこと、そしてこれはこのような条件下でこれまでに観察されたオリゴクローナルなHSC活性と一致することを示す。従って、造血系の通常時の維持、チャレンジによる造血系の調節、および移植後の造血系の再構築の間の基本的な差異が明らかになった。HSCの運命マッピングとそれに関係するモデル化は、健康および疾患における造血の調節をin situで研究する量的な枠組みになる。

