文化進化学:野鳥に実験的に誘導した革新的行動が同調によって持続的な文化となる
Nature 518, 7540 doi: 10.1038/nature13998
ヒト社会では、忠実度の高い社会的学習によって行動が社会的ネットワークを通じて伝達される場合に文化的規範が生じる。しかし、動物集団内で社会的に伝達される行動が広まり定着し得る過程については、実験的研究が不足しているためにそれほど理解が進んでいない。本論文では、野鳥集団における採餌法の伝承の確立についての実験的証拠を示す。野生のシジュウカラ(Parus major)の複数の同型分集団に選択的な新規の採餌法を導入し、自動追跡法を用いて、これら新規採餌法の拡散、確立および長期持続をマッピングした。さらに、社会的ネットワーク解析を用いて、拡散動態に影響を与えた社会的要因についても調べた。新規採餌法の情報は、各分集団において、訓練を施したわずか2個体から社会的ネットワークのつながりを介して迅速に広がり、全体の平均75%に伝わった。全同型分集団では、計414個体が情報を獲得し、合計5万7909回この新規採餌法を実行した。これらの分集団では、最初に導入された採餌法を用いる傾向への偏りが大きく、そのため、集団内の個体の入れ替わりが速いにもかかわらず、2世代にわたって安定な局所的伝承が確立された。最後に、ある革新的行動を個体が初めて獲得する際には、局所で最も高頻度に見られる行動の異型を偏重して採用し、個体レベルの情報よりも社会レベルの情報を選好し続けるという、社会的同調の強い影響力が明らかになった。文化的同調は、ヒトで複雑な文化が進化した際の重要な要因だと考えられている。今回の結果は、野生の非霊長類動物における同調と、野生動物での採餌法の文化的規範を初めて実験的に実証したものであり、このような一見して複雑な文化的行動が従来考えられていたよりも広範な分類群に存在していることを示唆している。

