遺伝子制御学:エンハンサー–コアプロモーターの特異性が、発生遺伝子の調節とハウスキーピング遺伝子の調節を分離している
Nature 518, 7540 doi: 10.1038/nature13994
動物の遺伝子転写では、コアプロモーターの所にRNAポリメラーゼIIが結合し、これを、より遠位にある場合もあるエンハンサーが細胞型に応じて特異的に活性化する。しかし、ハウスキーピング遺伝子が細胞型によらず広く発現される仕組みはよく分かっていない。特に、細胞型によらず広い範囲にわたって活性を示すエンハンサーが存在するのかどうか、また発生遺伝子の調節とハウスキーピング遺伝子の調節とがどのように分離されているのかは、解明されていない。興味深い仮説の1つは、多様なコアプロモーターが、特定のエンハンサーに対して固有の特異性を示すというものである。このように考えられるのは、機能の異なる遺伝子間では、多様なコアプロモーター配列を持つエレメントの分布が互いに異なっており、そうしたエレメント中には、発生に応じて調節される遺伝子とハウスキーピング遺伝子のどちらか一方だけに選択的に見られるものが含まれているからである。今回我々は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のS2細胞とOSC(卵巣体細胞由来培養細胞)では、数千個のエンハンサーが2種類のコアプロモーター(一方は広く発現されるリボソームタンパク質遺伝子由来で、もう一方は発生に応じて調節される転写因子由来)のうちの1つに対して著しい特異性を示すことを明らかにし、さらにさまざまな機能を持つ遺伝子由来の5種類のコアプロモーターについて、同様な2つのタイプが存在することを確認した。ハウスキーピング型エンハンサーは2つの細胞型の両方にわたって活性を示すが、発生型エンハンサーは高い細胞型特異性を示す。2つのタイプのエンハンサーは、ゲノム中の分布、隣接する遺伝子の機能、またこのような隣接遺伝子の持つコアプロモーターエレメントに違いが見られる。さらに、我々は2つの転写因子DrefとTrlがそれぞれ、ハウスキーピング型エンハンサー、発生型エンハンサーに結合して活性化することを明らかにした。今回の結果は、塩基配列にコードされたエンハンサー–コアプロモーターの特異性が、ゲノム全体にわたって存在する数千ものエンハンサーとその標的遺伝子について遺伝子調節プログラムを、発生型とハウスキーピング型に分けていることを示す証拠となる。

