発生生物学:組織常在性マクロファージは卵黄嚢由来の赤血球骨髄系前駆細胞から生じる
Nature 518, 7540 doi: 10.1038/nature13989
大部分の造血系細胞は、成体の造血幹細胞(HSC)から再生するが、成体組織のマクロファージは、HSCとは独立に自己を維持することができる。これまで、in vitroでマクロファージに分化できる前駆細胞がHSC出現前の卵黄嚢で見つかっている。また、胎仔のマクロファージは、HSCに必要とされる転写因子Mybに依存することなく発生でき、成体組織で存続可能である。しかし、成体のマクロファージの起源と、HSCやHSC以外に由来すると思われる前駆細胞の質的・量的な寄与については、まだ不明である。本研究では、マウス成体の肝臓、脳、上皮、肺に存在する組織常在性マクロファージ(それぞれクッパー細胞、ミクログリア、ランゲルハンス細胞、肺胞マクロファージ)の大部分が、HSCとは異なるCsf1r+の赤血球骨髄系前駆細胞(erythro-myeloid progenitor;EMP)を生み出すTie2+(別名Tek)細胞経路から生じることを示す。EMPは胎生8.5日(E8.5)に卵黄嚢で発生し、E10.5よりも前に移動して発生期の胎仔の肝臓に定着し、少なくともE16.5までは胎仔の赤血球、マクロファージ、顆粒球、単球を産生する。その後、HSCに由来する細胞が、赤血球、顆粒球、単球を置換する。クッパー細胞、ミクログリア、ランゲルハンス細胞は、1歳齢のマウスではわずかに置換されているだけだが、一方で肺胞マクロファージは、加齢マウスで徐々に置換されていく。今回の運命マッピング実験から、胎仔肝臓での造血は、卵黄嚢EMP由来からHSC由来の順で起こることが分かり、卵黄嚢EMPが組織マクロファージの共通起源であることが明らかになった。

