Letter
気候科学:気候変動下での沿岸湧昇の増強と空間的均一化
Nature 518, 7539 doi: 10.1038/nature14235
主要な海盆の東縁に沿った風成沿岸湧昇の時期と強さは、太陽光が届き光合成が行われ得る表層に栄養分に富んだ深層水を運ぶことで、重要な漁業や海洋生態系の生産性を調節している。従って、温暖化する気候において沿岸湧昇の状況がどのように変化するかは、極めて重要な問題である。地球温暖化によって大陸–海洋間の暖まり方の差が増大し、海岸に沿って吹く風が強まり、沿岸湧昇が強くなると提案されているが、観測結果の分析やこれまでの気候モデル分析では、過去と将来の沿岸湧昇の変化傾向について、一致した見解はほとんど得られていない。今回我々は、東縁の湧昇系(EBUS)の大半では、将来の温暖化に応答して、沿岸湧昇の時期、強さ、空間的不均一性が一貫して大きく変化することを示す。気候モデルのアンサンブルから、高緯度域では21世紀末までに、湧昇期が早く始まって遅くに終わるようになり、湧昇が強まるが、低緯度域ではそうはならないことが示された。高緯度における湧昇の強さと持続期間の予想される増加によって、現在見られる沿岸湧昇の緯度変動は大きく減少すると考えられる。こうしたパターンは、4つのEBUSのうち3つ(カリフォルニアを除く、カナリア、ベンゲラ、フンボルト)で一致している。カリフォルニアEBUSにおいて湧昇が強まらず不確実性がより大きいことは、気候変動に対する大気の応答に関連した地域的な調節を反映している可能性がある。湧昇と海洋生態系に強いつながりがあることを考えれば、沿岸湧昇の強さ、時期、空間的構造に予想される変化は、海洋の生物多様性の地理的分布に影響を与える可能性がある。

