Letter
化学生物学:合成遺伝物質ポリマー由来の触媒
Nature 518, 7539 doi: 10.1038/nature13982
タンパク質触媒の登場に先立って、RNAのような初期の遺伝物質ポリマーに触媒作用が出現したことが、生命の起源における大きな変化だと考えられている。DNAも、in vitroで折りたたまれて三次元構造をとり、触媒となることが実証されている。しかし、これらの生体ポリマーが、折りたたみや触媒の進化に特化した機能を持つ化学的骨格のどの程度を占めているのかは分かっていない。天然には存在しない骨格の化学的性質を持つ合成遺伝物質ポリマー(XNA)は、折りたたまれて定まった構造をとり、リガンドに結合できることから、こうした合成ポリマーにも触媒(XNAザイム)になる能力を持つ可能性がある。今回我々は、4種類の化合物[アラビノ核酸(ANA)、2′-フルオロアラビノ核酸(FANA)、ヘキシトール核酸(HNA)、シクロヘキセン核酸(CeNA)]からなる一連のXNAザイムが、ランダムなXNAオリゴマープールから直接生じ、trans RNAエンドヌクレアーゼ活性およびリガーゼ活性を示すことを明らかにした。また、FANAを骨格とした金属酵素XNA–XNAリガーゼも得られ、完全な合成系での触媒が実現し、FANAオリゴマーと活性を持つRNAエンドヌクレアーゼFANAザイムをその構成要素から合成することができるようになった。これらの結果によって、生体ポリマー以外にも触媒作用を拡張でき、天然には見られない幅広いポリマーを基本骨格とした触媒を発見する技術が確立できた。天然のポリマーに全く依存しない触媒作用の進化は、地球や宇宙の別の場所で生命が誕生するための化学的境界条件の定義に役立つと考えられる。

