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神経科学:RBM3はシナプスの構造的可塑性と神経変性に対する冷却の保護効果に関わっている

Nature 518, 7538 doi: 10.1038/nature14142

健康な成体の脳では、シナプスが除去と形成の過程を経て絶え間なく作り変えられていて、この過程は構造的可塑性として知られている。シナプス数の減少は、神経変性疾患に共通して見られる初期の特徴であり、これはシナプスの不足を補う機構に欠陥が生じていることを示唆している。神経変性疾患でのシナプスの機能不全や消失につながる有害な過程については解明が進んでいるが、シナプス再形成がどのような変化を受けるのかは分かっていない。冬眠中の哺乳類では、低温によってシナプス結合が減少するが、これらは温度が再上昇すれば再形成されるので、構造的可塑性の一形態と見られる。我々は以前、実験的に低温に置かれた齧歯類でも同様な変化が起こることを見いだした。低温と冬眠も、脳で数種類の低温ショックタンパク質(cold-shock protein)を誘導し、その中にはRNA結合タンパク質RBM3が含まれる。このようなタンパク質と構造的可塑性との関係は分かっていない。本論文では、神経変性疾患のマウスモデルではシナプス再形成が障害されており、それに関連してRBM3の発現誘導も損なわれていることを示す。プリオン感染マウスと5XFAD(アルツハイマー型)マウスは共に、低温処理後のシナプス再形成能力が低下していて、それと同時にRBM3の発現誘導が起こらなくなっていた。海馬でRBM3発現を増加させると、この障害が防止され、低温処理後にシナプスを再形成する能力が回復した。RBM3応答が失われる前に低体温処理を行って内因性RBM3発現レベルを高めておく、あるいはレンチウイルスを使ってRBM3を導入するという方法のどちらかでRBM3を過剰に発現させると、5XFADマウスでも、またプリオン病の全段階でも持続したシナプス保護作用が見られ、行動異常やニューロン消失が防がれて、生存期間が大幅に長くなった。これに対して、RBM3をノックダウンすると、どちらのマウスモデルでもシナプス消失が亢進して病気の進行が加速し、低温処理が持つニューロン保護効果が失われた。従って、RBM3ストレス応答の障害が少なくとも原因の1つとなって起こったシナプス再形成異常は、神経変性疾患の全過程を通して、シナプス消失に関わっている。これらのデータは、低温ショック経路の増強が神経変性疾患の保護的治療法となる可能性を示している。

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