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構造生物学:ヘテロ二量体型ABC排出輸送体のサブナノメートル分解能低温電子顕微鏡構造
Nature 517, 7534 doi: 10.1038/nature13872
ABC(ATP-binding cassette)ファミリー輸送体は、ATPの結合とそのヌクレオチド結合ドメインでの加水分解から得られるエネルギーを用いて、基質の細胞膜を通過する輸送を行う。ABC排出輸送体は原核生物と真核生物の両方に存在し、病原体やがん細胞の多剤耐性に関わるだけでなく、ヒトの多くの疾病にも関与することが示されている。TmrABは、好熱性グラム陰性真性細菌のThermus thermophilusに由来するヘテロ二量体型ABC輸送体であり、多様な多剤輸送体と相同で、Walker Bモチーフに隣接する非触媒残基を持つ変質部位を1つ含んでいる。今回我々は、界面活性剤で可溶化されたTmrABの、ヌクレオチドが結合していない、内向き構造のコンホメーションの単粒子低温電子顕微鏡法によるサブナノメートル分解能での構造を報告する。再構成像から、膜貫通ドメインのヘリックスやヌクレオチド結合ドメインなどのABC輸送体の特徴的な構造が明瞭に解かれた。膜貫通ドメインにある空洞の側方は、膜の細胞質側だけでなく細胞質からも接近可能で、この輸送体が内向きに開いたコンホメーションをとっていることを示している。2つのヌクレオチド結合ドメインはそのカルボキシ末端のヘリックスを介して接触した状態を保っている。さらに、我々の構造と他のABC輸送体の結晶構造の比較から、内向きから外向きのコンホメーションへ移行する際の、2つのヌクレオチド結合ドメイン間のすべり移動や回転移動を含むコンホメーション変化の軌跡が予想された。

