Letter
進化学:細菌の長期的な表現型進化
Nature 517, 7534 doi: 10.1038/nature13827
分子進化の基本原則については、タンパク質のアミノ酸配列と構造の比較解析を利用した研究が、数十年前から行われている。対照的に、生物種の表現型と遺伝的特性の長期的な進化については解明があまり進んでいない。これは、進化に関する我々の理解に重要な欠落部分があることを示している。なぜなら、表現型や遺伝的特性こそが、自然選択や多様な環境への適応に重要な役割を果たしているからである。今回我々は、細菌の増殖と遺伝子欠失表現型の比較解析を、数百に及ぶゲノム規模の代謝モデルを用いて行った。全体として見ると細菌の表現型の進化は、最初に急激な表現型の多様化が起こり、続いてゆっくり長期的な指数関数的分岐が起こるという、2段階の過程として表すことができる。観察された平均的な分岐傾向は、単位時間当たりに変化する表現型特性の割合がほぼ同じというもので、それが何十億年も継続する。この予測された分岐傾向は、60通り以上の増殖条件下で40種の多様な細菌から得た表現型プロファイルを用いることで実験的に確認できた。これらの解析から、長い進化距離では、異なった栄養素の利用能力よりも遺伝子の必須性(gene essentiality)の方がはるかによく保存されており、その一方で合成致死性は保存度がかなり低いことが示唆された。また、急激な表現型進化は同一種内で時折見られるものの、表現型の類似性の高いものから低いものへの変化は主として属レベルで起こることも分かった。

