Article
神経科学:コウモリ脳内の三次元的な頭部方向符号化機構
Nature 517, 7533 doi: 10.1038/nature14031
ナビゲーションには方向感覚(「コンパス」)が必要だが、その感覚は哺乳類では頭部方向細胞(head-direction cell;動物の頭部が特定の方位を向いたときに発火するニューロン)から得られる情報に基づくと考えられている。しかし、哺乳類の脳内に三次元的なコンパスが存在するかどうかは分かっていない。今回我々は、三次元での空間行動によく適応した哺乳類であるコウモリで、爬行中および飛行中の神経活動を記録し、方位角、仰俯角または回転角のみに同調するか、あるいはそれらのうち2つか全ての角の組み合わせに同調する頭部方向細胞があることを見いだした。頭部方向細胞は、前海馬支脚領域内で、二次元表現から三次元表現に徐々に移るような機能的・解剖学的な勾配を持って配置していた。頭部が下の反転したコウモリでは、ニューロンの同調方位が180°ずれることから、三次元的な頭部方向は、方位角×仰俯角のトロイダル座標で表現されていると考えられる。このトロイダルモデルと合致するように、仰俯角への細胞同調は単一モードで円形をなし、360°連続していて途切れがない。これらの結果から、哺乳類に存在する三次元的な頭部方向認知機構が明らかになり、これが三次元空間内のナビゲーションを支えている可能性が示された。

