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気候科学:エルニーニョによる海洋亜表層の熱輸送によって強まる東太平洋の熱帯低気圧

Nature 516, 7529 doi: 10.1038/nature13958

エルニーニョ南方振動(ENSO)は、東太平洋赤道域の海面水温に大きな変動を生じさせ、気候や社会に大きな影響を与えている。特に、ENSOは、風の鉛直シアや安定度などの大気の動的要因を通して、太平洋海盆と大西洋海盆の両方における熱帯低気圧(TC)活動の年々変動に影響を与える。しかし最近まで、TCに対するENSOの直接的な海洋の熱制御は考慮に入れられていなかった。それは、時期と位置の両方に見かけ上の食い違いがあったためで、ENSOは冬季に最大になり、それによる海洋表層の温暖化はおおむね赤道に沿って生じるが、この領域ではTC活動がないのである。今回我々は、ENSOサイクルの温暖期であるエルニーニョが、冬季に最大になり、その2~3シーズン後に、北太平洋東部の海盆へ効率的に熱を排出して、TCを強めていることを示す。この海盆は、TCの盛んな活動を特徴とし、TCの活動が世界で2番目に活発な領域である。海洋の熱輸送に関与する時間の結果として、エルニーニョによって北半球の冬季に蓄積される赤道域の亜表層の「熱の貯蔵庫」が、数か月後のTC活動が最大になる時期(北半球の夏季と秋季)に北太平洋東部に現れる。この海洋の熱輸送の遅延機構によって、ENSOは、強いハリケーンの形成を促進するさらなる熱を供給する。激しいTC活動の変動に対するこの熱制御は、北太平洋東部全域のTC活動の季節予測と長期予測に大きな影響を与える。

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